阿木の農地と暮らしを守る「阿木特産営農」
阿木を車で走っていると、山あいに広がる田んぼや、季節ごとに表情を変える農地が目に入ります。
その中には、昔から地域の暮らしを支えてきた田んぼもあれば、地域の人たちが新たな取り組みとしてつくり上げてきたそば畑もあります。
阿木の農地に広がる風景は、ただ昔から残ってきたものではありません。
そこには、農地を守り、地域の未来をつくろうと取り組んできた人たちの存在があります。
その活動の中心を担っているのが、農事組合法人 阿木特産営農です。
「何とかせにゃあかん」から始まった
「ダムの上流は栄えた試しがない」と言われることが多くあります。
阿木も阿木川ダムの上流に位置しています。
だからこそ、私たちは「何とかせにゃあかん」という思いで立ち上がりました。
目標は、自分たちが暮らしている阿木、これからも生活していかなくてはならない阿木、そして中津川市を少しでも良くすること。
その思いから、農地を守り、地域の農業を支える取り組みを続けています。
中津川市も、阿木特産営農を阿木地区の地域づくりを担う団体のひとつとして紹介しています。
耕作放棄地の活用をはじめ、そばや小麦、野菜などの栽培、地域の子どもたちとの交流など、農業を軸とした地域活動が行われています。
326枚の農地を、地域のみんなで守る
阿木地区の79人の方々から農地を借り受け、その数は326枚。
その総面積は、約3,521.1a(約35.2ha)に及びます。
現在の作付・管理面積
- そば:約2,348.9a
- 米:約903.9a
- もち米:約10.4a
- 野菜:約55.3a
- 自己保全:約202.6a
- 合計:約3,521.1a
地域の方々から預かった、一枚一枚の農地。
その農地を耕し、作物を育て、農地として守っていくことが、阿木特産営農の大切な役割です。
阿木の新しい風景になった「そば」
阿木特産営農の活動を語るうえで欠かせないのが、阿木のそばです。
阿木のそばづくりは、昔から続いてきたものではありません。
阿木村づくり塾などの地域づくりの取り組みから始まり、耕作放棄地などを活用して、そばや小麦、野菜などの栽培が行われてきました。
そうした取り組みの積み重ねによって、今ではそばが阿木の特産品のひとつとなっています。
昔からある田んぼの風景に加えて、新たに生まれたそば畑。
それもまた、地域の人たちが阿木の農地を守りながらつくってきた、現在の阿木の風景です。
阿木の農業は、「作って終わり」ではありません。
育てたそばを食べてもらう。
地域の人に知ってもらう。
阿木を訪れた人に味わってもらう。
農地から食卓までがつながっていることも、阿木の農業の魅力のひとつです。
農業を通じて、地域の子どもたちとも
阿木特産営農では、農業を通じた地域交流も行われています。
JAひがしみのとの連携では、阿木の子どもたちや地域のグループと一緒に、サツマイモの苗植えから収穫までを行った活動も紹介されています。
農業を仕事として行うだけでなく、子どもたちが土に触れ、作物が育つ過程を知る。
そんな体験も、地域の農業を次の世代につないでいく活動のひとつです。
阿木に移住した家族へ、お米をプレゼント
阿木特産営農が大切にしているのは、農地だけではありません。
阿木で暮らす人を増やし、地域の未来につなげていくことも、その活動のひとつです。
その取り組みとして、阿木に移住した家族へ、1家族につき米1俵を贈っています。
また、阿木で赤ちゃんが誕生した家庭には、お祝い金を贈る取り組みも行っています。
農地を守ること。
人を迎えること。
子どもが生まれることを地域で喜ぶこと。
こうした活動も、阿木でこれからも暮らしていける地域をつくる取り組みのひとつです。
「阿木そばを食べて、阿木を考える」
阿木特産営農では、農業をきっかけに、地域の未来について考える取り組みも続けています。
令和元年に、当時阿木に駐在していた木島康雄さんの発案により始まった取り組みです。
その後、コロナ禍などによって中止となりましたが、令和4年に県議の平岩さんからお話をいただいたことをきっかけに再開しました。
阿木は中山間地域です。
平地と比べると、農地の維持や農作業には多くの労力が必要となります。
また、農業を続ける人が減れば、耕作放棄地が増え、地域の農地を守ることも難しくなっていきます。
だからこそ、農地を守るためにはどうすればいいのか。
中山間地域の農業を、これからどうしていくのか。
そんなことを、地域だけでなく、行政や農業関係者など、さまざまな立場の人たちが一緒になって考えています。
恵那農林事務所、県土木事務所、中津川市、阿木事務所、JAひがしみのなどの皆さんと阿木特産営農が集まり、阿木の中山間地域の農業について学び、意見を交わす場となっています。
そして、その場で味わうのが阿木のそば。
阿木のそばを食べながら、阿木の農業や地域の未来について考える。
そんな取り組みが、現在5年目を迎えています。
18人で守る、阿木のこれから
現在、阿木特産営農で活動するメンバーは18人。
平均年齢は71.7歳です。
18人で、79人の方々から借り受けた326枚、約3,521.1aの農地を守っています。
そこには、それぞれの農地を大切にしてきた人たちの歴史があります。
そして、その農地から米やそば、野菜が生まれます。
阿木を訪れる人が目にする農地の風景があります。
子どもたちが農業に触れる機会があります。
阿木特産営農が取り組んでいるのは、農作物をつくることだけではありません。
農地を守ることを通して、阿木で暮らす人たちの生活を支え、地域の風景を守り、これからの阿木につないでいく。
そのために、今日も農地で作業を続けています。
「ダムの上流は栄えた試しがない」と言われることが多くある中で、
「何とかせにゃあかん」
という思いから始まった取り組み。
その思いは、今も阿木の農地の中で続いています。
昔からある田んぼ。
新しく生まれたそば畑。
そこで育つ作物。
その一つひとつが、これからの阿木の風景になっていきます。
阿木特産営農は、これからも農業を通して、阿木の暮らしと未来を支えていきます。